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さらに、信仰やお祭りや風俗習慣、そういうものにしっかりと根をおろしていなければなかなか地域の生活文化は育たない、これが「深層」でございます。そして「中層」には、それらをもとにしたお芝居とか踊りとか歌とかいう芸術文化、教育文化、文化財研究、地名研究などの学術文化があるわけでございます。郷土史もあります。それから、その一番「表層」に環境とか経済とか行政というものがあって、地域が成り立っているということでございます。どうすれば、この一番の中核であります生活文化に根をおろした地域立脚型、住民参加型の創造的な自主文化事業が展開できるかということを考えていく。これは即地域おこしになるわけでございます。
次は、?Cとしまして「特に、芸術文化の面で、地域は、何を期待しているか?」というふうなことでございますが、伊達市の「だて歴史の杜カルチャーセンター」の方々の場合は、伊達メセナ協会という市民メセナと提携いたしまして、地域の方々のニーズをフルに伊達メセナ協会を通して吸い上げながら、それをホールの運営に生かしていらっしゃるということを拝聴しているわけでございます。
今までは、どちらかというと、ホール管理者の論理でホールが活用され、運営されてきたんじゃないか、それを転換しようということで、利用者の論理、市民の側に立った論理を主体としてホールを活用していこうということでございます。したがって、何を演目として選ぶかということにつきましても、十分に下見をした上で、合議し、決めているということなども拝聴しておりまして、そういう伊達メセナ協会という幅広い市民層の方々、企業中心じゃない、市民の個人の方々が中心で、企業の方も入っていらっしゃる、そういうきわめてユニークなメセナシステムをバックとしましてホールが活用されているということなども、地域のニーズの把握としては非常に重要な方法じゃなかろうかという気がするわけでございます。
そのほか、「地域の社会資源調査」ということ。例えば自然景観をどう生かすか、川、山の歴史をどう生かすかとか、それから伝説、昔話をどう生かすかとか、江差の繁次郎をどのように舞台化するかとかということになると思うんです。さらに、特に大規模都市圏におきましては、芸術に関するマーケットリサーチなども非常に有効でなかろうかというような気もするわけでございます。そういうことで、さまざまな方法と手段を用いまして、地域の方々の、これが見たい、こういうものを聞きたい、こういうものを自分たちもやってみたいというような本音を何とかつかんで、それを企画に反映させていくということが必須条件だと思います。

 

 

 

 

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